一話「初めて会った日」

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 私はそう言われて取り出し口からそれを取る。かわいく両手を伸ばして床にダイブしてこけているクマのぬいぐるみらしい。 「コロックマかわいいよね」 「うん、初めて取れた。ここに来たのも……」 「えっ?いや、ちょっと~、泣かないで~」  彼女に言われて私は頬を触れる。ぬるい涙がそこに流れ落ちていた。 「ありがとう。私、家出しちゃった……」 「そうか。なら私も付き合うよ。そしたらだんだん帰りたくなるだろうし、一人よりも楽しく遊べて一石二鳥だから。家の方は安心して盗み聞きしていた人が何とかしてるから」  私はゲーム機械の隙間から垣間見える桜木先生を見つけた。  彼女は電話をしていた。 「はい、そういうわけなので小岩井さんは私に任せておいてください」  そのような言葉が彼女の口から私の耳に入ってきた。その後、私は桜木冥土さんと遊び、先生の車に拉致られて家に帰った。そして父親に一瞬怒られたが、なんとか和解した。母親が言うには私がいない間、父親は私のことを後悔と心配をしてたようだった。  これが私と彼女が初めて会った出来事である。
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