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二話「嫉妬アップ」
時は流れて五月下旬。この頃になると学校内で一番初めの大きなイベントが行われるのである。そう、体育祭だ。そして私たちは今、その種目を決めている。
「じゃあ、体育祭の種目を決めます」と学級委員の女子が言う。
「あっ、その前にせんせーい。だるいから帰宅待機という種目だけ参加して後は休んでいいですか?」と冥土ちゃん。
「そうだな。じゃあ、リレー系は彼女にやらせてやれ。あとそんな種目はない」
「そんなことを言ってると回復……あの人、課金しまくってるんだったー」
彼女の口は閉ざすことなく、立ち尽くしていた。
「冥土、大丈夫?」
もうこの頃になると、お互いの名前は呼び捨てできるほどだった。
「ありがとう、これであの世にいけるよ、ほのスカッシュ」
「誰よ、それ」
「そうだぞ。あっちの世界でお前のこと見捨ててもこっちの世界では見捨ててやらないからな」
先生の言葉に絶句する彼女。そして次第に私たちのクラスの種目は決定した。
そして本番当日の選手入場入り口にて。
「なぁ、あいつ来てるよな?萌」
私の言葉に頷きを返して彼女は言う。ちなみに彼女は神月萌≪かみつきもえ≫、初めての席替えの時に横の席になってから仲良くなった。
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