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「…………」
それは、嘘偽りのない私の本音。
分不相応な名誉も富も欲しくない。身の程知らずな高望みほど、破滅に近づく足かがりになりやすいこともまた知っているのだから。
「だから、この場で深雪が表彰されたことを妬むとか憎むとか、手柄を掻っ攫われたとか……。そういった『嫉妬』という感情は持ち合わせていないのよね。壇上に上がることに、メリットを感じないからね」
そう言って、心から深雪に拍手を贈る。そんな私の姿を横目で見ていた彼女は、ため息を吐きながら不思議なことを呟き始める。
「愛花さま……。つくづく人が良すぎです……」
「……人が良すぎ?」
「えぇ、そうですよ。深雪さまが愛花さまの行った仕事に対する貢献を自分の手柄としてくすねたといっても通じるくらい、愛花さまが主導でこのプロジェクトは完了しましたのに……。なのに、深雪さまが上層部に取り入った結果、深雪さまが表彰されて……。なのになのに、愛花さまは人が良すぎます……っ」
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