彼女は掬われ、彼女は救われた。

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「言っていたでしょ? このプロジェクトを利用する地元の方たちにとってメリットがあると思ったから成功させたかった、と。つまりは、そういうことよ」  ニコッと笑みを浮かべて、彼女の耳元で囁く言葉は一つ。 「嫉妬はね、利用出来て始めて付加価値が生じるの」  嫉妬ほど、強大なパワーを秘めた感情もないと思っている。だけど、ただただ燻らせた嫉妬に、付加価値はない。  しかし、嫉妬の種類を見極め、モチベーションに変換させるべく、上手く働きかけば、こちらの味方にチェンジさせることも不可能ではない。それは、相手を促し意図的に味方にさせることも、相手自身さえも気付かないうちに味方の動きをさせることも、働きかけ一つで自由自在。むしろ、その匙加減こそ腕の見せ所ではないだろうか。
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