ぼくのものがたりの夢

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 はじめは、白黒(しろくろ)の世界でした。 例えれば、大昔(おおむかし)に伝説をきずいたという、きげき王が主人公の映画の画面。 それが、ひとつの美しいペチュニアがさいたときに、赤がはじめてぬられました。 うみねこがじゆうにとびたったときに、はじめて海と大空に、青がそめられました。 こがらしのふきはじめたころ、イチョウとふたたびめぐりあったときに、きいろがたれてきました。 山おくの古井戸(ふるいど)のそこからひっそりと、アマガエルのなき声がきこえてきたときに、みどりの音符(おんぷ)が読めるようになりました。  すると、いっきに世界は七色のかがやきをましていきました。 ステラーカイギュウの子どもも、つのなしマカジキの子どもも、星の子らも、せんねんサンゴのプラヌラようせいも、うたいねこの子らも、生まれたばかりのがらくたものも、みんなみんな、その七色の変化を楽しんでいたのでした。 その世界でしかし、さいしょの白と黒の色は、重要な要素をになっていたのを、ぼくはようく知っています。
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