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笑顔にみちた子どもたちとようむ員のおじいさんに対して、先生たちふたりは、おどろきをかくせないようすでした。
ありい先生は、ただあっけらぼうとつったっていて、まるで昔をなつかしむような遠い目をしているだけでしたが、いっぽうのうい先生はというと、なにやらなみなみならぬ感情をいだいているみたいです。
どうして、わたしの世界は、ただのまっくろの世界なのに、わたしの夢は、黒くぬりつぶされてしまったままなのに…。
なんで、きみの世界は、きみの夢は…、こんなにもかがやいているの?!
そうさけぶ、うい先生の目には、おおつぶのなみだがたくさんたまっていたのでした。
うい先生はみずからの教え子に対するしっととしかいいようのない感情をかくにんすると、うい先生自身の中にとてもなさけない気持ちがあふれてきたようでした。
それでも、こぼれそうな感情をおさえることができずに、続けてぼくにこう言うのです。
わたしもね、もっとカラフルなね、色あざやかな世界で夢を見たかったのよ…。
できることなら、もういちど一からやり直して…。
でも、いつまでもゆめみごこちじゃいけないんだ…。
そうさけぶうい先生に対して、ぼくは自分の思っていることを、ぼくがもういちど“ゆめみごこち”で夢を見た理由を言いました。
うい先生、なにごともおそすぎるってことはないと思います。
ぼくたちの世界は、少し夢を見づらくなっていませんか?
ぼくらは、大きくなってからも、ちゃんとぼくらがほんとうにねがうねがいというものを、きちんと見つめる必要があると思います。
まわりのマネをしないといけないから、まわりと同じような生き方をしなきゃいけないから、自分のほんとうの夢をあきらめる、そんな世界はつまらなすぎませんか?
うい先生、ぼくは、あなたの黒くいろどられた世界も、ステキな夢だと感じました。
ぼくにとっては、白い世界や黒い世界も、とてもカラフルな世界のうちのひとつだと思うのです。
うい先生のみた黒い世界の夢の理由、もういちど深く考えなおしてみてはどうでしょうか。
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