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明らかに落ち着いた雰囲気に変わった僕の様子に、側室のシリル様の子である第1王子のガイラス兄上と正妃である母の子である第2王子のアロイス兄上の二人の眉間にシワがよるのを見逃さなかった。
『…どういうことだ。あの我儘で粗暴なレイフィルの、この落ち着きようは。
まるで別人じゃないか』
『……フン。側仕えの誰かに唆されでもしたか。
だが、王位継承権はどう足掻いたところで変わらん。
それにあのレイフィルだ。直ぐに粗野な態度に戻る』
『まぁまぁ♪レイフィル!
あの子がこのように成長してくれるとは!
なんとも頼もしい!
兄、アロイスが次期王と決まった暁にはレイフィルが側で兄を支えてくれるでしょう!
第1王子とはいえ、まだ皇太子とは決まっていないのだから!』
『……ふむ。あのレイフィルがどうしたことだ。
王族として落ち着くようにいくら諭しても聞き分けがなかったあやつがこのように変わるとは。
だがまだ簡単には安心できぬな。あのレイフィルだからな……』
アロイス兄上、ガイアス兄上や母上、父上たちの心の中で想う事をあっさり聞き取れている僕は、すました顔で食事を進めた。
……そう。僕のチートな"スキル"の1つ。
任意で対象を決めた人の心の声が聴こえるのだ。
この部屋に来るまでに密かに把握した自分の能力。
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