【目立ちたい】

チクショウ！

何で！
『アイツ』ばかりが、
周りからチヤホヤされるんだよ！！

勉強だって、運動だって
断然、俺の方ができるって言うのに！！

友人たちが集まると、
話題に上るのは、いつも『アイツ』の事ばかり！

そうなんだ！

『アイツ』ばかりが、いつも目立ちまくっていて、周りから注目を集めてやがる！

全く！
世の中は、不公平に満ち溢れているぜ！

『アイツ』ばかりが、いつも目立つなんて！

ああ！
俺も、周りから注目される存在になりたい！！

俺だって！
いろいろ『努力』してるんだぜ！

それこそ、『アイツ』の努力とは比べ物にならないくらいにな！

しかし、
いつも目立つのは『アイツ』の方ばかりなんだ！

一体、この差は、何なんだ？！

俺と『アイツ』のどこが違うって言うんだよ！！

その上！

ああっ！何と言う事だ！

俺が普段から物凄く尊敬している『あの人』までもが！

最近は『アイツ』にばかり、注目してるんだ！

『あの人』には…
『人を見る目』が有ったハズなんじゃないのか？！

だから、普段からいろいろと努力している、この俺の話を今まで熱心に聞いてくれてたんじゃないか！

い、一体、どうしちゃったんだよ！

全くっ！！

ああ！
俺も『アイツ』みたいに、目立つ存在になりたい！

周りから注目を集めたい！

あっ！そうだ！

それこそ『あの人』が驚くぐらいの…誰も思い付かないぐらいの、
『凄い事』をやってみるってのは…どうだ？！

そうすれば、
俺も目立つ存在になれるんじゃないだろうか！

でも…

『凄い事』って、
一体、何をやれば良いんだろう…。

『あの人』が驚くぐらいの、
誰も思い付かないぐらいの、
『凄い事』……か…。

と、ところがだ！！

普段から、そんな事を考えている、この俺に！

まさに！
千歳一遇の機会が巡って来たんだよ！

あの、いつも目立ちまくっている『アイツ』より、周りから熱い注目を集めて！
その上！『あの人』をも驚かせる、まさに千歳一遇の機会がな！！

これで！
俺が周りからも注目を集める事ができる！

『アイツ』にも、
「どうだ！俺の方が、場合によっちゃ思いきった事ができる凄い人間なんだぜ！」
という事を分からせてやる事ができるってもんだぜ！

俺は…

息を大きく吸うと…

思いきって、大声を張り上げた！！