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「でも俺の隣じゃ、お前は泣けないだろ?」
俺がそう言った瞬間、夕陽の身体と表情が固まった。
そしてゆっくりと、その手が真っ白になるほどに、夕陽の手が握り拳を作って、力が込められる。
「どうして必死で笑顔を作るんだ?」
小さく、なるべく責めている雰囲気が出ないように、夕陽に問いかける。
「僕は朝陽しか……ううん、多分朝陽も。信用してない」
「信用してない?俺も、朝陽も?」
「うん、出来ない」
小さく首を横に振る夕陽。
その顔には、今度は自嘲的な笑みが貼り付けられていて。
その目は今にもこぼれ落ちそうに、大きく見開かれていた。
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