ある冬の日の出来事

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「朝陽が死んじゃったらどうしよう。朝陽がいなきゃやだよ。朝陽がいないなんて、やだよぉ」 小さく声を押し殺したその言葉はしかし、この静けさの中では異様に鮮明に耳に届く。 「朝陽に起こされるんじゃなきゃ朝なんて来なくていい」 「夕陽……」 強く俺に抱きついたまま泣きじゃくる夕陽に声をかけるけど、返事は帰ってこない。 「朝陽の作ったのじゃなきゃご飯もいらない」 「なあ、夕陽」 俺の声は、夕陽には届かないのだろうか? 友達なのに、こいつの力にはなれないのだろうか? 歯がゆい。 無力感。 イライラする。
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