ある冬の日の出来事

3/29
前へ
/29ページ
次へ
バレンタインデーも近くなってきて、男どもが心なしかソワソワとし始めたこの時期。 俺はいつもと変わらない日を過ごし、いつもと変わらないような時間に家に帰り、何ならいつも通り晩飯を食べていた。 いつもと違ったのは、そんな時間に友達の夕陽から電話があったこと。 「もしもし、夕陽?どうしたんだ今時分?」 箸を置いて携帯を手に取り、通話に出る。 『蛍、朝陽が死んじゃう』 耳に飛び込んできたのは、焦りの感情を詰め込んだような、夕陽のか細い声。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加