青春とやら：大小内の受難

ある冬の日の出来事

「ほた、る。蛍！」

夕陽も俺を見つけたようで、凄い勢いで抱きついて来る。

「夕陽、何があったんだ？」

俺に抱きつき、胸元に顔を埋めて小さく震える夕陽。

その夕陽の髪を優しく撫でながら、なるべく優しい声音で問う。

「朝陽が、朝陽が車にはねられて、それで血だらけで。とにかく病院って救急車呼んで。そしたらそのまま運ばれてって手術室に……」

夕陽は、未だまとまらないのだろう自身が見たことを、取っ散らかって整理のつかない頭の中をフル回転させながら、一生懸命言葉を紡ぐ。