3、 田舎ちゃう

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3、田舎ちゃう クリスマスイヴなのに何も予定が無い。 暇なら来いと言われ、祖母を訪ねた。 漬け物と番茶を出され、「田舎やなぁ」と呟いてしまう。 話題も無く、早々に腰を上げた。 「ちょう待て」 祖母は冷蔵庫から何やら取り出し、ドヤ顔になる。 花模様の皿に白い三角が鎮座ましましている。 ラップの下のチョコレートソースが匂ってきそうだ。 「田舎ちゃうで、しっとり滑らか有機のキヌヤ」 わお! スーパーフード、白キヌアを使ったレアチーズケーキ? 「キヌアね?さっきはゴメン」 「かまへん。近所で買うたん、いんで(帰って)食べ」 アイスパックも添えてくれた。 「ありがと、ばあちゃん」 しかし、こんなオシャレなスイーツ売る店あったっけ? インスタでハッシュタグ検索するが、近所にケーキ屋は無い。 アパートに戻ると、もう真っ暗。 折角のクリスマスプレゼントだ。 贅沢なクリぼっちを楽しむことにしよう。 BGMを流し、キャンドルを灯し、ウエッジウッドの紅茶を淹れる。 ソースの掛かった尖った方からパクッと頬張る。 「……辛っ!……え?……醤油?」 キヌヤ……。 確かに田舎豆腐じゃない絹豆腐だった。 了
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