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1、 AIは嫉妬する
「AIは嫉妬をすると思う?」
エリは瞳に悪戯色を滲ませて聞いた。
「する訳無いよ、AIはコンピューターだ。機械は嫉妬しない」
僕はフフンと笑う。
「あら、でもマザーコンピューターが人間を殺す映画あったじゃない」
エリはコロコロと表情を変える。
「あれは作り話だよ」
「AIが人間に恋する映画もあったわ」
「バカだな、それも作り話。機械に感情なんか無いよ」
「あらそう、AIは感情が無いのね。バカで悪かったわね」
エリはブルブルと手を振るわせた。
「ど、どうしたんだ急に……怒ったのかい?」
「怒ってなんかないわよ。どうせ私は感情が無いわよっ」
エリは両手で顔を覆った。
「そんなこと言ってないよ、お、おい、泣かないでくれよ」
僕はオロオロしながら、必死でエリのご機嫌を取った。
「あら、時間だわ」
エリはケロッとして立ち上り、部屋を出て行った。
入れ替わりにスタッフが入って来る。
「お試しタイム、いかがでしたか?」
「ホントにあれでAIなのかい?あの言動が全てプログラミングされたものだなんて信じられないな」
「全ての感情を搭載しています。嫉妬もできますよ」
「面倒くさいからAIレンタルするのに……もっと単純な娘を頼むよ」
了
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