砂漠

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私は人生を迷いすぎている男だ。だから、旅に出た。己が何者であるか知るために。 旅をする中で、私は常に歩き続ける男、ディン・ディディンの噂を耳にした。私は彼を探し、47日目に夜の砂漠で彼を見つけた。 「おお、ディン・ディディンよ。あなたは迷いなく歩いているように見える。あなたはなぜそんなに真っすぐに歩くことができるのだ?」 ディン・ディディンは、サングラスによれよれの帽子、黒いひげをぼうぼうとのばした風貌だ。汚れたジャケットを羽織り、古いナップサックを担いで、砂漠を歩いている。彼の歩みは力強く、どこまでも迷いがないように見えた。彼は、私をちらりと横目で見てこう言った。 「むしろ迷いだらけだ。この世に迷いのない人間などいないだろう。どれだけ世界を旅しても、どれだけ悟りをひらいても、人は常に己の道を迷い続ける。『迷』という漢字が十字路で人の足。人は多くの道があると、どの道を進めばいいか迷うものなのだ。例えば、この広い広い砂漠。俺はもう何十日も迷い続け、月と星を頼りに歩き続けている」 なんという男だ。何十日も迷い続けているにも関わらず、この力強い足取りなのか。 「しかしディン・ディディンよ、この砂漠で迷っていては餓死してしまうはずだ。あなたはとても健康に見える。食料はどうしている?そして、砂漠の夜は冷える。寒くはないのか?」 「出前をとっている」 そう言うとディン・ディディンはおもむろに携帯電話を取り出した。なんと、砂漠を何日も歩いているのに充電が切れないなんて!
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