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「あら、わたしがお見舞いに来ちゃ悪い? 同じ生徒会の仲間として当然のことよ。ま、あなたとしてはいろいろ不都合なことがありそうですけどね」
「い、いやあ、みんなでお見舞いに来てもらってうれしいよ。アハハ…アハハハ……」
凍てつくように冷たい切れ長の瞳で六条に睨まれ、燿はバツが悪そうに苦笑いを浮かべて誤魔化す。
「ま、思ったよりも元気そうでよかったわ。それじゃ、邪魔者はこれで退散するから、ちゃんとかわいいカノジョのこと大事にしてあげなさい。中条くんと……あとの人達も気を遣ってあげなさいよ? それではごきげんよう」
そんな燿を呆れたように見返しつつ、六条はそう断りながらさっさとその場を後にして行く。
「は~い。若い二人には気を遣いま~す……」
「……じゃあね、燿先輩。あたしのことはいいから、葵先輩に優しくしてあげてね」
彼女のことが怖いのか? やけに素直に返事をする登也であるが、彼と今の六条の言葉に明るかった顔を不意に曇らせると、オカッパの子は小声でそんな言葉を燿に伝え、小走りに六条の後を追ってゆく。
「し、し、失礼します!」
一人後に残されたオドオドする女の子も叫ぶようにそう告げると、慌てて前をゆく二人の方へ駆けて行ってしまう。
「ハァ……」
「フゥ~……」
三人が十分な距離まで遠ざかると、燿と登也はようやく緊張から解放されたように、大きく安堵の溜息を吐いた。
「なんか、俺達ずっとモブ扱いだったな?」
「あの三人も、湊本先輩が手をつけた方達ですか?」
部外者感ハンパない扱いに文句を口にする加茂であるが、となりの阿倍野はそれを無視すると、先程、六条が言い残した意味深長な言葉を気に留め、脱力した燿の方を真っ直ぐに見つめて尋ねる。
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