生霊

6/13
前へ
/13ページ
次へ
「あら、わたしがお見舞いに来ちゃ悪い? 同じ生徒会の仲間として当然のことよ。ま、あなたとしてはいろいろ不都合なことがありそうですけどね」 「い、いやあ、みんなでお見舞いに来てもらってうれしいよ。アハハ…アハハハ……」  凍てつくように冷たい切れ長の瞳で六条に睨まれ、燿はバツが悪そうに苦笑いを浮かべて誤魔化す。 「ま、思ったよりも元気そうでよかったわ。それじゃ、邪魔者(・・・)はこれで退散するから、ちゃんとかわいいカノジョのこと大事にしてあげなさい。中条くんと……あとの人達も気を遣ってあげなさいよ? それではごきげんよう」  そんな燿を呆れたように見返しつつ、六条はそう断りながらさっさとその場を後にして行く。 「は~い。若い二人には気を遣いま~す……」 「……じゃあね、燿先輩。あたしのことはいいから、葵先輩に優しくしてあげてね」  彼女のことが怖いのか? やけに素直に返事をする登也であるが、彼と今の六条の言葉に明るかった顔を不意に曇らせると、オカッパの子は小声でそんな言葉を燿に伝え、小走りに六条の後を追ってゆく。 「し、し、失礼します!」  一人後に残されたオドオドする女の子も叫ぶようにそう告げると、慌てて前をゆく二人の方へ駆けて行ってしまう。 「ハァ……」 「フゥ~……」  三人が十分な距離まで遠ざかると、燿と登也はようやく緊張から解放されたように、大きく安堵の溜息を吐いた。 「なんか、俺達ずっとモブ扱いだったな?」 「あの三人も、湊本先輩が手をつけた(・・・・)方達ですか?」  部外者感ハンパない扱いに文句を口にする加茂であるが、となりの阿倍野はそれを無視すると、先程、六条が言い残した意味深長な言葉を気に留め、脱力した燿の方を真っ直ぐに見つめて尋ねる。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加