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気づくとそこは、俺が居た世界だった。
戻ってきた・・・
そうだ。
今はそれどころじゃない。
早く柚樹を助けにいかなくちゃ。
回りを見渡しても、魔王の姿はない。
「い、嫌だっ。来ないで!!」
っ!柚樹の声!?
ってことはすぐ近くに居るはず。
もう一度回りを見渡すと、少しおかしい場所があった。
何故かそこだけ嫌な感じががする。
そんな小さな違和感があった。
そこに、居るかもしれない。
確信は無いのに、何故か柚樹がそこに居る気がして走り寄った。
そうっと手を出したら伸ばすと、自分の手が消える。
あれだ、結界っていうやつだ。
俺は目を瞑り、迷わずそのなかに入った。
目を開けると、魔王が柚樹に詰め寄っているところだった。
「柚樹っ!!」
とたんに魔王が振り向いた。
「おい、魔王!柚樹から離れろ!!
柚樹は関係ないだろ!」
『ならお前が我の下に来い』
っ!
それは嫌だ。
けど、そうしないと柚樹が危ない。
もう、仕方がない気がする。
諦めるしかないな・・・
「・・・・・・分かった」
『そうか』
魔王は、楽しそうだ。
「柚樹、助けを呼べ。
お前を助けてくれる奴が居るだろ?」
柚樹はコクコクと首を振って、願うような体勢になった。
念話とか、そこら辺だろうな。
そう考えているうちに、いつの間にか魔王は俺の前に来ていた。
『ククッ、やっと我のものになったか。
待たせ過ぎだぞ?』
「・・・すみま、せんでした・・・・・・」
目の前に立った魔王は、逆らえないオーラを出していて、俺の身体は動かなくなった。
『ほら、早く我の下に来るがいい』
その言葉に身体が勝手に従い、俺は魔王の腕の中に居た。
『さぁ、帰るとするか。我らの城へ』
その瞬間、俺の意識は暗い闇に落ちていった。
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