2人が本棚に入れています
本棚に追加
魔王が俺を見ているのがわかるが、怖いのであえて視線を外す。
下を向いていると俺の目の前まで魔王が寄ってくる。
咄嗟に後ろへ下がろうとしたら、腰に手を回され引き寄せられた。
『何故逃げる?』
そう、不機嫌そうに魔王はその整った顔にシワを寄せる。
「いえ、何でもないで、す・・・」
昨日までの勢いは何処に行ったのか、俺の声は弱々しく空気に消えていった。
『なら逃げるな』
そういって俺の顔に魔王の顔を寄せてくる。
「っ!・・・ん・・・ふ・・・・・・」
突然の感触に驚き、逃げようとしても魔王の手がいつの間にか俺の後頭部を捕まえていて逃げられない。
その間に、キスははどんどん激しくなってくる。
このまま食われてしまいそうで、怖い。
何故か頭の中にゼーレが浮かんだものの、呼んでも来ないと知っているから諦めた。
『我が目の前に居るのに、他の男のことを考えるとは・・・』
いつの間にか離された口から、唾液の糸がのびる。
魔王が言った言葉が理解出来なくて、首をかしげた。
『はぁ・・・・・・
これを天然でやっているから淫魔よりタチが悪い』
魔王が何か呟くも、息を整えるに必死な俺は気付かない。
そしてまた激しいキスが降ってくる。
口の中で、魔王と俺の舌がクチュクチュといやらしい音をたてながら動く。
最初のコメントを投稿しよう!