序章

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序章

ふと目が覚めると、そこは暗い森だった。 ・・・そういえば俺、魔界ってとこに来たんだっけ。 道理で回りにヘンな生き物がうようよしてる訳だ。 でも俺を見たらすぐに逃げてしまう。 ・・・? 俺人間だから格好の餌食になると思ってたんだけど・・・ 俺としては死にたくないから逆にラッキーなんだけど。 ああ、言い忘れていた。 俺は桐谷柚花、17歳だ。 つい最近、俺が居た世界(人間界)で魔界とやらの魔王に気に入られてしまい、逃走している途中だ。 誰があんな奴の伴侶なんかになるか!! いや、俺は同姓愛者に偏見を持ってるわけではないんだ。 ただあいつの性格が嫌いなだけだ。 あんな人の命を弄ぶような奴は好きになれない。 はぁ・・・柚樹大丈夫かな? 柚樹は俺の弟。 父と母が離婚したときに生き別れて、柚樹は俺のことを知らない。 けど俺はずっと柚樹を見守ってきた。 最近は柚樹に男(あいつは絶対人間じゃない)が寄ってきて、柚樹を守っているから安心だけど、でもやっぱり心配だ。 主に性的な意味で・・・ とにかく、早くここから逃げないと。 いつまた魔王が来るかわからないからな。 『こんなところにいたのか。柚花よ』 っっ!いつのまに!? 魔王の手が俺に向かって伸びてくるのを振り払って、走り出した。 お願い、何処でも良いから魔王の居ない所にっ! その瞬間、俺の周りが光った。 次に目を開けたら、また、知らない場所だった。 いや、森にいること自体は変わらないんだけど。 それにしても、今のは何だったんだ? 誰かが俺を助けてくれた? それとも・・・・・・ 考えてる内に、体が重くなっていき、地面に倒れこんだ。 ダメだ・・・・・・瞼が下がっていく・・・ 逃げなきゃ、いけないのに・・・ 静かになった森の中で、一人の男が倒れた柚花の側に現れる。 『せいぜい楽しませろよ?柚花。 我から逃げ惑うがいい。 どうせお前は、最後には我の腕の中に堕ちるのだからな』 男、もとい魔王は、クックッと笑いながら、闇の中に消えていった。
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