第四章 ドライブ 

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「今日のお召し物も凄く素敵でとてもお似合いですよ」ドライブ当日、光一さんから褒めてもらえた、この服は先日、買ったものだ。「ありがとうございます、馬子にも衣装ですね(笑)」照れ笑いで誤魔化す私は素直に受け止められない。ずっと地味で生きていたのだから、そう簡単に変わるものでもないのだ。「里美さんは地味と言うより質素で清楚なんですよ、そこが魅力です。それに・・・」「それに?」「磨けば光る原石ですからね。もう既に光っているので本当は他の男性に里美さんを見せたくなくてドライブにしました。」「・・・・・そんな・・・事ないですよ」スラスラと甘い事を言う人を今まで信じる事なんてできなかったのに、光一さんの言葉を全て信じてしまうのは惚れこんでしまったためか・・・?「本当ですよ。磨けば・・・なんて失礼な事を言ってしまい申し訳ないです。想った以上に魅力ある女性だと逢う度に想い知らされ独占したくなったので困っています。結構、独占欲強い方なのだと初めて知りました。」嬉しい、素直に胸に響く。「独占・・・してください」やだ・・・つい本音が口から飛び出した。どうしよう・・・恥ずかしくて顔をあげられない。「言葉攻めも嫌いではないと言う事ですね?それなら良かった。本音をストレートに言えるのは僕としても有難いです。」言葉攻め・・・確かに弱いかも。光一さんと出逢って自分でも気づかない事に一つずつ気付き始めて新鮮な日々を送っている。だから前を向くようになった。だけど一般的な女性とは出発点が違うので、やはり自信は持てないでいる。「可愛いですよ、里美さん。言われ慣れていないと言うだけで本当に可愛い方です。照れている姿も謙虚なところも僕は好きです。だから・・・もっと僕を見て下さい。」恥ずかしくて目を見ることが出来ない私を元気づけてくれる。「眩しいんです光一さん。格好良すぎて見れないんです」正直に伝えると、暫く無言で運転を続けた。怒った・・・?何か気に障る事を言ったのかな・・・。心配になっていると車が停車した。「??」光一さんを見ると私をじっと見つめている。何だろう??「里美さん、いま僕の事を見て下さい。僕に里美さんの顔を見せて下さい。」そういって運転席から助手席に両手を伸ばし私の両頬を包み込んだ。
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