第四章 ドライブ 

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心臓が止まりそうなほどに近距離で逃げる事すらできない。逃がさない、と言わんばかりの両手で容姿端麗な光一さんの顔を見つめさせられて動けなくなった。また唇を重ねるのかもしれないと考えるだけで高揚しグッと目を瞑る。「いいんですね、唇を奪っても?」頷く前に光一さんの柔らかい唇が私の唇と重なる。目を開けられない。光一さんはいつも積極的で頼れるから私はいつも‘おまかせ’していることが多い。自分からアクションを起こさないといけないのに、どうすることも出来ない。「目を開けて里美」呼び捨てされてドキッして瞑っていた目をそっと開ける。光一さんが愛しそうな目で私を見つめる。「僕の事、好き・・・?」「はい・・・夢中になってしまっていて困ってます」「僕は初めて見た時から夢中になっていたよ、里美に」嘘・・・ううん、もし嘘でもいい。甘い台詞に甘い口づけ。充分に満たされている。「好きです、光一さん」「知ってる。そんな目で見つめられて好きじゃないって言われたら凹むよ。ふふ。可愛い。」私の事をギューと抱きしめて嬉しそうに頬を摺り寄せる。こんな格好良い人でも、こんな甘える行動をするんだ・・・とまた新たな一面を知り嬉しくなった。「光一さんって格好良いのに可愛いですね。好きです・・・そういうところも」「里美は綺麗だよ。こんなに心が綺麗で今まで出逢った男は気付かないなんて馬鹿だと想う。そのお蔭で僕が出逢えたわけだし感謝かな♪」「私は光一さんに出逢って変わったんだと想います。こんな短期間で地味な私を変えて下さってありがとうございます。これからも光一さんの隣にいて恥ずかしく想われないように努力します。見守ってください」「楽しみにしています。じゃぁ・・・交際OKってこと?」「私で良ければ・・・お願いします」「今から恋人同士だ。嬉しいよ、ありがとう。」「好きです、光一さん」「こんなに綺麗なんだ。いよいよ失恋した相手を見返す時ではないの?」見返すなんて、本当はどうでも良かった。だけど二人で何かを企てる事に興奮を覚え始めていた。「見返す、見返したい。」「計画を練って成功したらご褒美下さいね、楽しみにしていますよ。貴方は稀少な方なんですから」??稀少??よく理解できなかったけれど頷いて了承の返事をしたのだった。
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