第九章 真実

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私を綺麗にしてくれた。私の彼氏になってくれた。私を幸せにしてくれた。そんな光一さんとの条件は【一つ目:私の血をあげる】【二つ目:血の譲渡について詮索はしない】、そういって契約をした。その契約を私は今、破ろうとしている。ゴクリ・・・。どんな話をされるのだろう。吸血鬼では無いらしいけれど。だったら何が目的で血を集めているのだろう。「里美さん、私はね・・・外道なんですよ。」「外道???」「真理に反した世界で生きている、それが僕なんです。」「よく理解出来ないんですが・・・」「ずっと理解しないで居て欲しかった。里美さんと居る時間が心地の良いものだったから、このままで居たかったです。」容姿端麗な光一さんに悲しそうな表情はあまりにも綺麗過ぎて、つい見とれてしまう。胸を突き刺すような切ない気持ちが溢れだした。「光一さんが好きだから全てを知りたくなったんです」そういうと何かを吹っ切ったような表情を浮かべ私に向き合った。「余計な詮索は身を滅ぼしますよ。僕を吸血鬼とでも想っていてくれれば良かったのに。大好きな里美さん・・・」そう言って唇を重ね私を強く抱きしめた。それから私は意識が無くなった。
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