第六章 見返し実行

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第六章 見返し実行

同期の飲み会の日になった。打ち合わせ通りに行くか内心ドキドキしていた。大丈夫、新しい彼氏は容姿端麗の光一さん。いつも背中を押してくれて大切な存在。「里美~!お待たせ~!」同期の博子が手を振って駅の方からやってきた。「博子~!大丈夫だよ、私も今来たとこ。」「あれ?里美、綺麗になった?それに表情も明るくなった。もしかして・・・彼氏でも出来た?」本当に女は敏感だ。ニコリと笑って肯定した。「マジで??でも、そうだよね、じゃなきゃ、そんな綺麗に磨きがかからない!元はいいのに今まで隠してたな~!詳しく聴かせてよ。」「う・・・うん」お店に入る前から、このテンションで先に到着していたらしい男性陣二人と合流後も私の彼氏の話で持ちきりだった。同期の五人で集まると言っていたのに肝心の私を振った柏木はまだ来ていないようだった。「アイツ一時間くらい遅れるってさ」そうなんだ・・・見返し実行したいから来てほしい。「お待たせ~待たせて悪かったな」後から来た柏木は私の目の前の席に座る。「・・・?あれ?里美・・・か?」座って直ぐに声をかけてきた。「そうだよ~この間、皆で逢ったばかりなのに、もう忘れちゃったの?」「いや・・・そうじゃなくて。アレ?綺麗になった?」お、食いついた!と内心ガッツポーズをとりつつ冷静を装っていると博子が口を挟む。「容姿端麗の彼氏がいるらしいよ!今その話で盛り上がっていたとこだよ」先に来ていた男性陣も会話に参加する。「こんな綺麗になるなら俺、告白すればよかったな」「お前、奥さんいるだろ?まったくよー」そんな冗談を言っているのに柏木は一人、真剣な眼差しで私を見つめる。「柏木ー!博子を見つめても彼氏にはなれんぞ!」と博子がからかってきて「え?あ・・・うん」と空返事をした。もう、これだけで見返しは満足。だけど最後、会心の一撃を実行しなければ。「里美の彼氏が見たいー!!」博子が騒ぎ羨ましがる。「あ、この飲み会が終わったら迎えに来てくれるんだ。」「マジですか!!?見たい!いい?」「え?うん、いいよ?」かなり酔っぱらっている博子は興奮がおさまらずにいた。飲み会が終わる頃に光一さんにメール。「OKです。お店の前で待機してますね。」最後の仕上げまで、あと少し。
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