第七章 稀血(まれけつ)

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第七章 稀血(まれけつ)

「ご褒美を頂いても良いですか?」「はい」確認と了承。唇を重ねる。気付ければその間に採血が終わっているパターン。私に害は無いけれど、吸血鬼と契約をしたようで不思議な感覚。「里美さんは良い香りがしますね。稀少な血の香り。」こぼれる言葉も吸血鬼みたい。詮索はせず吸血鬼だと想えば気にならない。だって詮索をしたら、光一さんとの関係は終わってしまう。蚊に刺されたと想えばいい、献血をしたと想えばいい。そう想うようにしていただけれど何度か訪れる‘ご褒美タイム’が気になって仕方なくなってきた。光一さんの全てを知りたい。けれど知ったら鶴の恩返しの様に悲しい結果になるかもしれない、それが怖かった。そんなある日、街を歩いていると献血を呼びかけるキャンペーンをやっていた。開催してはいるのはよく見かけるけれど、献血したことはない。光一さんに採血されてから気になる事が有った。私の血が何かあるのだろうか?この機会に何かを知れるかもしれないと献血することにした。献血して初めて知ったのは自分が稀血であること。輸血の際に適合する血液が得にくい血液型「稀血」、私はRhマイナスAB型らしい。2000人に1人程度の持ち主。献血登録制と言うのが有って献血センターに登録し必要な場合は個別に連絡が来て可能であれば献血を行うシステムらしいけど今回は断った。コレの事だったんだ、光一さんの言っていた私の血が稀少と言うのは。採血した後の目的は全く分からないけれど、私の血を必要としているのは確かだった。献血に興味も無かったので知らなかったけれど、光一さんは何故、私が稀血という事を知っていたのだろう?稀少な血の香りって・・・香りでわかる光一さんが謎だった。暴いてはいけない、暴くと別れが訪れる・・・。真実を知るのは怖いけど気になって仕方なかった。
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