第2話 鬼畜と家畜

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また、ある時は大規模な治水工事を提案し、その働き手として老若男女問わず、国民を強制召集。更には貴族までもが同様に治水工事へと強制召集。 ドエスナにとって王族以外とは、皆平等であり同格だと言わんばかりの提案。気位の高い貴族達にとって、これほどの屈辱は無いであろうに。泥に塗れて肉体労働へと励む貴族達の不満は、高まるばかりであった。 こうした傍若無人な態度をとるドエスナに対してクーデターの兆しが見え始めると、王女直属の親衛隊が首謀者とその一派を迅速に武力制圧。 そしてドエスナの悪名を不動のものとする「鬼畜喰らい事件」が、街の中心にある中央広場にて始まるのであった。 クーデターの首謀者とその一派、およそ百余名が一つの檻に入れられ、中央広場にて見せしめとして晒される。勿論、それだけでは無い。 檻の前に建てられた立札には『食料を与えた者には死罪』の文字が。そう、ドエスナがクーデターを企てた者に対して行ったのは、三ヶ月間の禁固刑。それも食事抜き。 そんな状況下で「三ヶ月間、見事禁固刑を全うした人は無罪放免とする!」と宣言し、周囲を驚かせた。 三ヶ月間、檻の中に閉じ込められて食事抜き。食料を与える者には死罪。それが何を意味するものなのか、捕らえられた者達にはすぐに理解できた。まさに鬼畜の所業と言わざるを得ない処罰だと。     
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