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さて、そんな悪名高い鬼畜喰らいのドエスナに、生殺与奪権を握られた流刑囚達。生きた心地などする筈も無い。
元々、流刑囚などは鉱山や炭鉱などの鉱夫として働かされるのが一般的。鎖に繋がれ、落盤の危険の中、一生を終えるのだ。
しかし、そこから逃げ出して自由の身になる者や、恩赦によって解放される者がいる。そう、本来であれば僅かばかりの希望もあるのだ…ドエスナに生殺与奪権さえ、握られていなければ!
突き付けられた現実に悲観する流刑囚達。そこにエルカが話を持ちかけた。
「王女が鬼畜ならば、生殺与奪権を握られているお主らは、さしずめ家畜。さて、この鬼畜と家畜の関係を断ち切りたいと思う者はおらぬか?」
エルカが声を潜めて、流刑囚達に問いかける。顔を見合わせる流刑囚達。え?もしかして逃してくれるのかと、色めき立つ。
「あの…ひょっとして、逃してくれるんですか?」
一人の流刑囚が囁くと、エルカはニコリと笑って己の腕に装着された腕輪を見せつける。
「これが何か分かるか?これは『魔封じの腕輪』じゃ。魔力を封じて魔法を使えなくするマジックアイテム。それを二個も付けられ、ワシは無理矢理ここで働かされているのじゃ。家族を人質に取られてな」
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