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エルカは自身の現状を流刑囚達に語った。二年前に家族を人質にとられ、無理矢理働かされていること。闇魔法の使い手でありながら、魔力を封じられて抵抗が出来ないこと。そして流刑囚の阿鼻叫喚に苛まれ、逃げ出したいことを。
話を聞き終えた流刑囚四人に対し、エルカは脱獄の提案を持ちかけた。
「今回、九人の流刑囚が連れてこられたが…その中でもお主達四人ならば、何とか脱獄が可能かも知れぬ。残りの五人には残念ながら、お主達四人の脱獄の為の犠牲になって貰うがな。じゃが、五人の犠牲によってワシとお主ら四人が逃亡出来れば…隣国に非人道的な研究を明るみにし、外交手段によって研究の凍結も可能かも知れぬ。どうじゃ?今後の犠牲者を無くすためにも、お主らの命を…ワシに預けてみてはくれないか?」
エルカの持ちかけた話に拒否権は無かった。今月中には実験体として爆死が予定されている、その流刑囚達が生き残るには話に乗るしかないのだから。
四人の承諾を得たエルカは、脱獄計画の詳細については後日話すとして、四人の流刑囚を地下牢へと見送った。
そして別室にて待機させていた残りの流刑囚、四人を呼び出して尋問が始まった。先ほどと同じ様に人体実験によって殺される予定だ、と。そして…。
「王女が鬼畜ならば、生殺与奪権を握られているお主らは、さしずめ家畜。さて、この鬼畜と家畜の関係を断ち切りたいと思う者はおらぬか?」
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