0人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
何故か罪状が『馬鹿』と書かれていても、納得のいく顔立ちと佇まい。故にエルカの興味を引いた。
「ではこれより個人面談を開始する。久礼よ、お主からじゃ。他の者は看守の指示に従い、各自の部屋にて呼ばれるまで待機を。久礼よ、お主はそこに座るがよい」
そう指示されると、久礼は素直にテーブルのある椅子に腰掛けた。そして対峙する様にエルカも椅子に腰掛ける。
「では、まず名前と年齢じゃが…羽賀 久礼19歳に相違無いな?」
「はい、先日19歳になったばかりの羽賀 久礼です!」
自分の置かれている現状を理解していないのか、久礼は元気良く返事をした。
そんな久礼の態度に眉をひそめながらも、エルカは話を進める。
「さて、お主の経歴についてなのじゃがな…この罪状、馬鹿と言うのは一体どう言った事情から記されたのじゃ?」
「え?罪状?馬鹿?それって何の事?」
キョトンとする久礼に、エルカもキョトンとしてしまう。
「いや、お主…自分の置かれている現状を理解しておらぬのか?今、お主は、流刑囚として、ここに連れて来られたのじゃぞ!?」
「え?何で?僕は何も悪い事なんかしてないよ?」
…何かがおかしい。話が噛み合わない。そこでエルカは順を追って話を聞いてみた。
「久礼よ、お主の出身は?」
最初のコメントを投稿しよう!