序章&第1話 求めしは勇敢なる者よ

7/10

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
「はい、その通りです!都で一旗揚げようと出立(しゅったつ)する時、村人が総出で見送りをしてくれましたから!自慢じゃないですが、本当に村の皆からも期待されてたんですよ!特に普段、見向きもしてくれない村の女の子達が、満面の笑みを浮かべて僕の出立に手を振ってくれましたから!これは何としてでも結果を残して故郷に錦を飾らんとと、意気込みも新たに都へと上京したんです!」 「それはお主が村から出ていってくれるから、喜んで手を振っていたのでは…いや、まあいい。それで、都に着いてからはどうしたのじゃ?」 「それが…田舎者の自分には都の事など右も左も分からずでして。都に着いたまでは良かったのですが、その後どうしたものかと思い悩んでいたんですよ。でも、渡る世間に鬼はなしでしてね!道端で佇んでいると、とても親切な方が心配して、話し掛けて来てくれたんですよ!」 「ほう。どこの国にもお節介なお人好しは居るものじゃのぉ。それで?」 「そこで出会った…権兵衛さんって方が、親切にモテる秘訣を教えてくれたんですよ!」 「何やら悪い予感がし始めて来たが…それから?」 「権兵衛さんが言うには、大陸に行くと若い男を求める『まだむ』なる方が多数存在すると。更に、とても勇敢なる『まだむ』は若い男にお金を払って凄い気持ちイイ事をしてくれると、夢の様な話をしてくれたんです!」 「……」 「そこで僕は思ったんです!ああ、これこそ僕の天職であり、天命なんだと!」 「…おい」     
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加