序章&第1話 求めしは勇敢なる者よ

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「でも、大陸に渡るには沢山のお金と手続きが必要だって権兵衛さんが。田舎から出て来た僕にはそんな費用を出せるわけが無いし、無理だって話したら俺に任せろって、権兵衛さんが!」 「ちょっと待て、それは…」 「その後は権兵衛さんの指示に従って、有り金全部と(ふんどし)以外の身に付けているもの、全てを預けて大陸に渡って来れたんです!いや~本当に大陸に渡れるとは!流石は権兵衛さんです!感謝してもしきれません!一生の恩人です!」 「ちょっと待てと言っておるだろうに!お主、ここまで来て騙されてる事に気が付いておらぬのか!?」 「え?誰が?誰に?騙されてるの?」 「お主が!権兵衛にじゃ!」 「僕が?権兵衛さんに?」 「そうじゃ」 「あ、もしかして…権兵衛さん、若い頃にモテてたって話の事?そりゃ権兵衛さんを見たら、若い頃にモテてたって話を信じる人は少ないですけどね。でも、僕は信じてますよ!だってほら、権兵衛さんって優しくって話が上手いじゃないですか?」 「違う!いや、そもそも権兵衛がモテてたかどうかなど、ワシが知る由も無いじゃろうが!」 「え?それじゃあ騙してたってのは…」 「お主…そんなんだから、罪状に馬鹿などと書かれるのじゃぞ?いいか、よく聞け…お主は…嵌められたのじゃ!」 「は、嵌められたの!?」 「そうじゃ、嵌められたのじゃ!」 「ハメに来たのに…いつの間にか嵌められたの?」     
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