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それから僕は思い切り投げて、ノーヒット・ノーランで試合を盛り上げていた。
その試合は僕たちのチームの勝利だった。
あの時、やりたくてもできなかった野球がやれたってことで興奮している。
僕たちは他の試合を見るために観覧席に座る。
そこへマギーが走ってきた。
首筋に抱きついてくる。
僕は人目を気にしてその腕を剥ぎ取った。
「すごい。翔さんってすごいっ」
「いや、途中でやめたんだ。ずっとやってなかった」
そう謙遜する。
ずっとやっていなかったわりにはスピードがついていたと思う。
その時、マギーは僕が野球をやめたことに、なにか理由があったと感じていることがわかった。
ちょっと真剣な顔になったから。
けど、すぐにその理由を聞いてはこなかった。
普通の人なら「なんでやってなかった?」と訊いてくる。
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