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そして、僕はこのことを話したら、おっきい祖母ちゃんに嫌われるかもしれないって心のどこかで思ってた。
友達を見捨てるなんてひどい子だとか、なぜ本当のことを言ってあげなかったのかって責められるとびくびくしていた。
だから、避けていたんだ。
でも、今ならわかる。
おっきい祖母ちゃんなら黙って話を最後まで聞いてくれて、こう言うと思う。
「つらかったね。怖かったんだね。わかるよ、逃げたくなった、その気持ち。誰でもそう思う。翔も傷ついた。でも、一番つらいのは牧野君じゃないのかな。今からでも遅くない。一緒に謝りに行こうよ」と。
あの高校一年の初夏、僕は生涯の大事な友とおっきな祖母ちゃんをなくしていた。
なんかわかった。
窮地に立ったされた時って、向こう側にジャンプするように、ちょっとした勇気を持つことなんだ。
あいつと同じ側に立って弁解できなかったこと、一緒に謝らなかったこと、逃げてしまったこと、後悔してる。謝りたかった。
もう遅いかもしれないけどね。
そうすれば、少しだけでも僕の気持ちは救われる。
後はあいつが僕を許してくれるのを待てばいいだけ。
僕は今までこのことをずっと心の中に引きずっていた。
つらくて悲しい、思いだしたくない事。
ああすればよかったとか、これがいけなかったって後悔してる方がずっとつらい。
もし、謝ったら、十年後にはあの時さって笑って言える間柄に戻れるかもしれない。
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