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僕も睡魔に襲われたみたいだ。
いつの間にか寝ていたらしい。
人の気配で目が覚めた。
周りに人が大勢いる。
椅子にもたれかかって眠っていたらしい。
クリスが目の前に立っていた。
なんか怒ってる?
「探したの。ずっとホテルに戻ってこなかったから心配したのよ」
ここは日系センターだった。
ドンという太鼓の音がどこからか聞こえてきた。
人々がそちらへ移動していく。
「太鼓が始まる、行こう」
外へ出ると通り向かいのシティホールの前で、三人女性の太鼓の演武が始まっていた。
活気づく声と共に一糸乱れぬバチさばき。
見学者も多い。
僕はまだぼうっとしていた。
太鼓を見ながらそっと他の人々を眺める。
確かにここは翔の時代。アイフォンで写真を撮ったり動画をとる人たちもいる。
戻ってきていた。
あれは夢だったのか。
それにしては生々しさが半端じゃない。
さっきまでマギーが寄り掛かっていた温もりが肩に残っているようだ。
でもあの世界は戦中のカスロだった。
大勢の日系人、そして収容所対抗の野球。
その後、緊張気味のクリスのパネラーの語り。
今までに勉強し、日系人にインタビューしてきたことを皆に発表していた。
なかなか上手にまとめられていると思う。
大きな拍手をもらっていた。
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