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僕たちはそのセンター自体が、その昔、廃業になっていたホテルだったと知った。
そして、カスロホテルと同じように日系人の生活の場に提供されていたそうだ。
じゃあ、あの幻はやっぱりあの当時に戻っていたのか。
マギーたちはこの二階へ上がっていった。
けっこう角度のきつい階段を上がる。
その壁には日系の写真や言葉、この地に残したことなどが描かれていた。
「生け花? すごい、どんなふうに生ければいいか図面で描かれてる」
「ねえ、こっちは手先の器用だった日系人がこの町の人たちに木工細工なんかを教えたって、書道、折り紙、剣道、ここには俳句も地元の人たちと楽しんだって書いてある」
「俳句? 英語の俳句?」
なんか、どきどきしてくる。
すごい発見をしたかのよう。
上もたくさんの写真があった。
そして、その中にカスロで結成された野球チームの円陣写真が残されていた。
見覚えのある顔。
真ん中の二人は朝日チームのユニフォームを着ていた。
そう、ケンとダグだ。
まさかと思っていたけど、やはり夕べは戦時中のカスロにいたんだ。
地元の人の言葉がある。
《僕たち(地元白人たち)の野球はかなり上手だと思っていた。けれど、朝日のメンバーたちがここに来て野球をやった。彼らのレベルはけた外れだった。》
僕にはその気持ち、わかる。
自分たちで練習しているとすごく上達した気がするから。
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