また会えたね・受け入れられていた日系人

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 クリスがさらに上へ行く。  三階もある。  その三階の部屋割りの名前に鈴木があった。  二部屋を使っていた。  これが高祖父だ。  やっぱり、この町に、このホテルに寝泊まりしていたんだ。  日系人が寝泊まりしていた客室は閉鎖されていたが、一室だけ開放されて中が見られるようになっていた。  狭い空間に親たちが寝るベッドと子供用の二段ベッド。  靴、帽子、ジャケットなども並んでいる。  神棚のような物も見える。  すると、クリスが一枚の写真を見て僕を呼んだ。 「ねえ、ここに鈴木政吉って書いてある」 「えっ、ひいひい祖父さん?」  その写真には五人ほどの男性が写っていた。ちょっと洒落たコートを着て、紳士のよう。  僕は自分の高祖父を探し出すよりも先に見覚えのある顔を見つけていた。  マギーの父親だ。  中央に立っている。  帽子がよく似合う。  ってことは、もしかすると僕の高祖父と友達だったりして?  なんて考えているとクリスがマギーの父親を指さした。 「この人が鈴木政吉さん」  僕が意外そうな顔をしたから、クリスが不思議そうな表情になった。 「ほら、ここに、右から並んでいる人の名前が書いてある。中央の人が鈴木政吉さん。ねっ、この人でしょ」  僕もその名前を確認して、並んでいる人を数えてみる。  確かに・・・・、確かに・・・・。  誰か、嘘だって言ってくれっ。  マギーのお父さんが僕の高祖父って・・・・、じゃあ、その娘のマギーは・・・・。  僕のおっきい祖母ちゃんってこと?  image=508559873.jpg
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