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僕はあの可愛いマギーの顔を思い出す。
長い黒髪、大きな黒い瞳。
全然内気じゃないし、会ったばかりの僕に腕をからめ、婚約者だなんてことを言っちゃうんだ。
僕、マギーにあいつのこと、話している。
静かな目で聞いてくれた。
心落ち着ける、なんていい子なんだろうって思った。
帰りのトラックで、父親が一緒に乗っているのにも気にしないで、僕にもたれかかって眠っていた。
あの温もり、まだ覚えているぞ。
あれが、あれが若い時のおっきい祖母ちゃん?
僕は、ウオーと叫びたくなった。
この事実をどう受け止めていいかわからなかったからだ。
グローブは? グローブはどうなったんだろう。
僕、マイクに弟さんの形見をもらったんだ。
それがあのグローブだってわかってた。
それをマギーと一緒に座っていたトラックに置いてきたんだ。
「ねえ、どうしたの。なにかとんでもないことを思いだしたような、そんな顔してるけど」
クリスの声で我に返った。
まさか、さっきまでタイムスリップして自分の曾祖母に会っていたなんてこと、信じてもらえないだろうから。
「あ、うん。すごくダンディーな感じの素敵な高祖父だなって嬉しかったんだ」
「そうね。本当に。いい暮らしをしていたんでしょうね」
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