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ぼんやりと妃呂美の寝顔を見ていた。
いつもはばっちり化粧をしていて、怖いくらい頭のきれる女性って感じ。
けど、今の妃呂美はあどけない少女のようだ。
以前にも素顔の妃呂美の方がいいって言ったことがある。
化粧なんていらないって言ったんだ。
妃呂美はちょっとうれしかったみたいだけど、すぐに真顔になって僕を脅すように言った。
「女の化粧にはいわゆる戦いへ行く兵士のような儀式、そして覚悟の意味があるの。化粧で本当の自分の弱さを隠し、何事にも負けない別の自分になりすます。言ってみれば、武将が鎧兜をつけるようなそんな感覚」
それは妃呂美だけの言い分なのかもしれない。
けど、的を得ていると思う。
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