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 本来なら理央の体調や理斗たちの都合を優先して訪問する日時を決めるべきだと解っていたが、あいにく朔にはアルバイトの予定がぎっしり詰まっている。スケジュールを確認している朔を見て、理斗は不思議そうな顔をした。 「そんなにアルバイトをしているのか?」 「はい。俺は一人暮らしなので。ああ、来週の日曜日なら大丈夫です」 「じゃあ午後に迎えに行こう」  迎えを固辞していたら、理斗が「どうせ理真に運転させるから」と笑うので、顔がわずかに引きつってしまう。先日の理真はとても怖かった。  半ば強引に迎えと、一緒に夕食を食べることを約束させられて、朔は理斗と別れる。  いつものように持参したおにぎりで昼食を済ませ、午後の講義を受けるために講義室へと向かった。  理央に会えると思うと謝りに行くのが目的でも舞い上がってしまう。講義の内容が右から左へ流れていくくらいには朔は浮かれていた。  ふと、手ぶらで謝罪というのはどうなのかと疑問がよぎったので、講義の合間にスマートフォンで有名菓子店を調べ、見栄えがよくて美味しそうな菓子折りを探した。食欲のない理央のことを考えると果物のゼリーがいいかもしれない。ともかく御厨グループのご子息に相応しいものを意識した。アルバイト代が吹っ飛ぶ値段の菓子ばかりだったけれど、まったく気にならなかった。
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