袴田家の人々～レオナルドの憂鬱～

憂鬱なこと

袴田家の朝は5時から始まる

とはいっても、始まるのは一家の大黒柱である、袴田勇(父)59歳だけの朝だが。

毎朝4時半過ぎには目を覚ますらしい。
そして、必死で二度寝。
本人は認めないが、確実に年のせいだろう。
二度寝三度寝後、我慢できずに5時に動き出す。夏はいいが、冬場の５時は真っ暗だ。

せっかく起きたのでワタシと長く散歩にいけばいいものの、暗闇での散歩は好まないらしい。
おかしな好みだ。そのくせ、庭はうろうろする。
暗いのに。
そして5時半過ぎまで粘り、やっとワタシに声をかける。

「おいレオ、散歩にいくぞ！」

そこでやっと、ワタシは起き上がる。
袴田父がうろうろしてる間のワタシ?
勿論、寝ておる。
うろうろしてる時にうっかり捕まると、意味のわからないことに付き合わされる。

やれこのボールはワダセンシュの物だ
７番アイアンが古いから新しいのが欲しいよ
このピンはシリーズで毎年限定のものだ

よくわからない長い棒や固すぎるボール、痛そうな棘を見せられ、なんやかんや喋るのだ。

ワタシの朝は、そんな時間に費やされるのは好ましくない。
よって、声がかかるまで二度寝三度寝をすることにしているのだ。