憂鬱なこと

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シュッと細面の整った横顔 凛とした耳に黒曜石のように輝く目 絹糸のようにさらさらとした毛並みに 程よいボリュームの尻尾 我ながら惚れ惚れする容貌である。 だが、しかし。 中型犬を欲する家庭になかなか出会えずにいた。 とある日曜日の日中 周囲の喧騒の中、ワタシの前にとある少女が無言で達止まった。 年は12~3歳頃であろうか。 黒髪を二つに結った少女はワタシを見つめ続けた。 ワタシはまだ幼くそんな無遠慮な視線も初めてだった為、戸惑いながらもうろうろ…。 視線に耐えられずうろうろ…。 居心地悪いワタシに、少女はぽつりと呟いた。 「レオナルドだ…」 こうして、ワタシは少女に見初められ袴田家に迎えられることになったのである。
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