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プライベートがどんなにボロボロだろうと、そんなこと、私はおくびにも出さなかった。
オフィスでは、特にそう。私はいつだって毅然としていたい。打ち明け話なんてもってのほか。
達哉との一件も、お酒の失敗も記憶に無い夜も、全部心の隅に押しやって、私はいつも以上に仕事に励んでいた。
午後一の打ち合わせを終え、次の予定に備えて席を立つ。頭の中ではすでに、あさってからの沖縄出張のスケジュールと、必要書類の確認を始めていた。
「麻倉さん、打ち合わせお疲れさまでした」
「……ああ、菅谷さん。お疲れさまです」
慌しく会議室を出ようとした私に声をかけてきたのは、打ち合わせで一緒だった建築部主任の菅谷さんだった。気さくな彼は、私が支社に赴任した時から、よく声をかけてくれる。
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