予期せぬ再会

5/17
前へ
/38ページ
次へ
「たまには帰れとか、そういうこと?」 「そんな感じです」  母からの電話で、出張で感じていた疲労の度合いが二割くらい増した気がする。  あの調子じゃ母は、きっと私が実家に帰ることに同意したと思い込んでいるだろう。  私の話に耳を貸さないのは、まあいつものことだけど。 「それで麻倉、帰ることにしたの?」 「いえ……」  本音を言えば、やはり帰りたくはない。  実家に帰るたびにぶつけられる母の()(ごと)に付き合えるほど、今はまだ気持ちに余裕がない。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

247人が本棚に入れています
本棚に追加