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「まあ、家族とのことに他人の俺が口出すべきじゃないとは思うけど、麻倉だってこのままでいいって思ってるわけじゃないんだろ?」
「それは……」
思わず言葉に詰まったとき、課長が道路に向かって右手を上げた。
「麻倉、タクシー来た。先に乗って」
そう言うと、課長は停車したタクシーに私の荷物をさっさと積み込んだ。
「あとこれ。実家に帰るなら、手土産くらいあった方がいいだろう?」
課長から手渡されたのは、沖縄土産が入った袋だった。
それは、「総務の女の子たちに出張土産を催促されたけど、何を買ったらいいのかわからないから」と課長に頼まれ、飛行機の待ち時間に私が選んであげたものだった。
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