幾つかの夜、幾つもの朝 第二話 上司からの告白

予期せぬ再会

　今のところ、今日買った服を着て出かける予定なんて一つもない。でも、予定がないなら作ればいい。

　映画でも食事でもお酒を飲むことでも、私は一人でもできるし、自分から誰かを誘っても構わない。そう思うと、自分はとても自由だと感じた。

　おかげで、実家を出る時はこれ以上にないくらい最悪だった気分が、かなり持ち直してきた。

　仕事に気を取られることのない、久しぶりに丸々フリーの休日。本当はゆっくりしたかったのだけど、休みの朝にしては早起きをして、課長から貰った沖縄土産を手に実家を訪ねた。

　……わかってはいたけれど、結果は散々だった。

　実家のチャイムを押してから三時間。

　リビングに座ったまま一言も発さない仏頂面の父と、母の一向に止まらないマシンガントークに心底うんざりして、私は、週末持ち帰った架空の仕事を理由に、早々に実家を後にした。

　そして今私は、両手にいくつもロゴ入りの紙袋を抱え、休日の大通りを歩いている。