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ギャラリーの白壁には、何枚もの油絵が飾られていた。
朝日にきらめく海、南国の濃い夏の緑、空高く噴煙を上げる桜島。
展示されている絵のほとんどが、この土地を描いた風景画だった。表に飾られた私の絵の他に、人物画は一つもない。
「いらっしゃいませお客様。お待たせして申し訳ありませ……」
声がして振り向くと、私よりちょっと年上だろうか、ショートヘアーのすらりとした女性が立っていた。私の顔を見て驚いたのか、一瞬声が止まったが、またすぐににこやかな笑顔を向けてくる。
「……失礼しました、お客様。絵をお探しですか?」
「いいえ、ちょっとお訊きしたいことがあって。表に飾られてる絵、あの絵のモデルはどなたがなさってるんですか?」
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