上司からの告白

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 無事に接待も終わり緊張が解けて、課長と軽口を叩きあう。一気に和やかな雰囲気になった。  飲食店が多く立ち並ぶ国際通りは、この時間になってもまだまだ人の波が途切れない。  緩やかに耳に流れ込む夜の街の喧騒と、泡盛で軽く火照った体を撫でる初夏の爽やかな風が、なんだかとても心地よく感じた。 「さて、どうする麻倉。もうちょっと時間あるし、よかったら飲みなおさないか」 「あー……そう、ですね」  課長に誘われてふと、あの夜のことが頭を過る。歯切れの悪い私を、課長が心配そうに見下ろした。 「なんだ、麻倉。ひょっとして酔ってる?」 「いえ、そんなんじゃないんですけど……」  仕事がうまくいって、久々に課長とゆっくり飲みたい気持ちもある。でも、どうしよう……。  逡巡する私に何かを感じとったのか、課長が先に口を開いた。 「……麻倉さ、最近根詰めて仕事してたろ。もうちょっと肩の力抜いていいんだぞ?」
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