予期せぬ再会

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「改めて紹介いたしますね。こちらがあの絵の作者の三浦和史。そして彼女が麻倉涼香様」 「……どうも」  それまで黙って座っていた三浦さんが、ようやく口を開いた。 「お疲れのところ申し訳ありません、三浦さん」  お互いに挨拶はしたものの、それっきり言葉が出ない。何となく気まずく感じて、しばらく沈黙が続いた。 「さて、一応私から紹介させてもらったけど、本当のところはどうなの? お二人とも面識はないのかしら」 「それは……」  内山さんの質問に思わず口ごもってしまった。一体私は、どう答えるべきなのだろう。 『あんまり覚えてはいないんですけど、失恋して泥酔した挙句、どうやらこの人と一晩過ごしたみたいなんです。彼とはその時だけの関係で、知り合いってわけじゃないんです』なんてこと、まさか馬鹿正直に言うわけにもいかないし……。
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