178人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
「知り合いのバーで彼女が酔っ払いに絡まれているところを助けたんだ。会ったのはその時だけで、知り合いってわけじゃない」
私は三浦さんの言葉に驚いて顔を上げた。あの夜、そんなことが? そう言われたら、そんなこともあったような……。でも記憶は朧で、ちゃんと思い出せない。
「そうだったんですか。大変でしたね、麻倉さん」
内山さんが同情の声を漏らす。私ははっきりと覚えていない手前、返事のしようがなくて、ただ曖昧な笑みを返すしかなかった。
もしも三浦さんが言ったことが本当だとしたら、失礼なのは私の方だ。私にあの夜の記憶がないことを彼は知らないだろうし。
それに、翌朝の私の態度も最悪だった。パーティで再会した時の彼の冷たい視線にも納得がいく。
後で三浦さんに話を聞いて、きちんと謝ろう。でもその前に、あの絵のことを何とかしなくちゃ……。
最初のコメントを投稿しよう!