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「それで内山さん、あの絵のことなんですけど……」
「そうだわ、和史。表の絵のモデルは本当に麻倉さんで間違いないの?」
本題に入ろうと居住まいを正すと、私より先に内山さんが彼に問いかけた。
三浦さんはどう答えるのだろう? 彼が私をモデルに絵を描いたことを認めれば、私にもあの絵に対して多少は権利が発生するはず。
……例えばそう、あの絵の公開を止めさせる権利とか。
私は息を呑み、三浦さんの答えを待った。
「……ああ、俺が描いたのは彼女だ。間違いない」
「それで、あなたは麻倉さんにモデルの許可は取ってないのね?」
「そういうことになるな……」
「そう……それは困ったわね」
三浦さんの答えに、内山さんは額を押さえため息をついた。
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