予期せぬ再会

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「本当にごめんなさい。やっぱり私は……」 「麻倉さん、私の話を聞いてくださいますか?」 「……なんでしょう?」 「今回のこと、こちらに非があることは十分承知しています。その上で、あなたにお願いしたいことがあるんです」  内山さんは懇願するように、私の手を両手で包み込んだ。 「実を言うと、あの絵にはすでに買い手がついてるんです。個展の初日にはもうお話をいただいていて、私もその方にお売りする方向で話を進めていました」 「……そのお話はもう、成立してしまったんですか?」 「いいえ、まだ交渉中です。でもここで話を白紙に戻したら……」 「……そうですね、わかります」
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